2009年10月21日 11:11
今月号のガルヴィに書評が載っており
「あー、これこれ!!」と嬉しくなり、早速ポチりました。
くう・ねる・のぐそ
何がハハの心を鷲掴みにしたのか。
まず、タイトルが秀逸です(^^)
装丁も女子でも手にとりやすそうな、シンプルかつプリティ(?)なもの。
表紙の素材も淡ーいクリーム色・繊維がザラザラしており、昔の便所紙を想起させてくれます。
(ハハは思わず匂いを嗅いでしまいました)
著者は、その世界では著名な菌類・キノコ写真家・伊沢正名氏。
キノコ写真家とのぐそ・・・・・・何となーくリンクしてますね(^_^;)
内容はキノコ写真家として第一線で活躍されている著者が
いかにして「糞土師(ふんどし、と読む)」への道を切り開いたのか。
半生記のようなものです。
それにしても、ある意味凄まじい記録です。
30年以上前から己ののぐそ歴を淡々と記録しつづける人間など、
この世界広しといえどもこの方くらいでしょう。
そのデータは年間のトイレ総数・のぐそ率として数値化され
著者のキジうち師としての情熱に拍車をかけます。
もとはといえば、自然保護運動家として活動していた際
し尿処理施設建設への地元住民の反対運動に関わったことから芽生えた
「水洗トイレとは壮大なる資源の無駄遣いではないのか?」という疑問。
その「資源」には、汚物処理施設にかかる資材・エネルギーはもとより、糞尿自体も含まれます。
そこで著者は、自然の循環の中に己の排泄物を組み入れ
食物連鎖の一翼を担おうという試みます。
そこから先は、
脱トイレットペーパー(最近のペーパーは分解されにくいそう)に始まり
後始末に役立つ野草探し・水を利用しての後始末法(井沢流インド式野糞法)の完成に続き
撮影で訪れた国内外でのぐそ体験(時には生命の危険あり)を重ね
ついには千日行(謎!)達成、『糞土師』誕生へと続くのです。
ちょっとエグかったですか?(;・∀・)
しかし、親業をしていたら、子供が小さければ小さいほど
排泄物はとても身近なものになります。
我が子に食べさせた食物が時間を経て排泄物として出てくる。
食と命と排泄物とが密接に関わっているのを実感できる期間でもあります。
子育て期の方なら、そう違和感なく読めるのでは。
著者は声高に「人民よ、いまこそのぐそを!!」とアジっているわけではありません。
(のぐそがもたらすであろう、自然との共生・社会構造の変化の可能性
については語られていますが)
全体を通じて流れるのんびり感・トホホ感が、程よく話題のエグみを中和してくれて
とても読みやすいですよ(^^)
のぐそを通じて、自然界の歯車としての人間を省みるよいテキストとなっています。
ただ惜しむらくは、タイトルの「くう・ねる」部をもう少し掘り下げてもらいたかったかなぁ、と。
まぁ、「くう・ねる」は人間の基本的な営みを表す象徴的な言葉なのでしょうが・・・。
ワタクシ的には、タイトルから受ける印象と内容との若干のズレが、
なんとなく中途半端な読後感をもたらすような気がします。
が、それでも充分楽しく読ませていただきましたよ♪
というわけで、本書はいわゆる「アウトドア本」ではなく
「或る実践的環境保護論者の記録」という位置づけになるかと思われます。
興味のある方は、是非ご一読を~(^^)
興味はあるけど、いきなりお金を出すのはちょっと・・・という方、
こちらもいい味出してます♪⇒山と渓谷社特設ページ
※巻末の禁断の袋とじ、メッチャ見たいけど開けられません(笑)
これは「生理的にダメかも」という恐れからなのか
「楽しみはとっておこう♪」という好奇心からなのか
自分でも判断しかねるまま、週末のキャンプに持って行きます~(^^ゞ